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ソフトウェアエンジニアのキャリアと、コンピューターギークのライフスタイル

クラシックなコンピューターギーク像

私は大学在学中から職業プログラマーとしてやっていて、これからもこの仕事を続けていきたいと思っているのですが、ふとしたときに、もしかしたら自分はすでにプログラミングに飽きてるんじゃないかと思うことがあります。そのすぐあとに、まだまだやってないことたくさんあるよね?と考えて持ち直すのですが。

そもそもコンピューターは弾道計算を目的として発明されたわけで、物体の運動を調べたり、流体のシミュレーションや倒立振子の姿勢制御するのだって原始のコンピューターの目的にかなっているわけです。コンピューターは科学史上の業績へのアクセシビリティを飛躍的に高めて、手元で再現する手軽さを研究者ではない私のようなギークに与えてくれているのです。

エイダ・ラブレスはコンピューターが発明されていない時代で人類で初めてデバッグしたとか、オートマトンパーセプトロンとは異なる計算モデルを求めた結果だとか、19世紀の数学者・物理学者のハミルトンが提示したハミルトン閉路問題が計算複雑性の研究のきっかけだったり、ブラウン運動に確率微分方程式が研究されて拡散モデルで役立っているとか、フォン・ノイマンの業績とか、ユーザーインターフェイスに関するアラン・ケイの仕事や Apple の HIG とか。こういう話はめちゃくちゃおもしろいし、その続きである現代ではコンピューター・情報科学・数学・物理学が渾然一体となって、社会に大きい影響を与えているわけです。

いま私はこういった話題を興味深く感じていますし、この先ずっと情熱を燃やしていきたいと思っています。こういう姿勢のことを、クラシックなコンピューターギークと私は呼んでいます。SFやロボットアニメが好きな子供の気持ちのまま、年齢に見合ったコンピュータースキルを身につけていきたい、そう思えば、職業プログラマー・ソフトウェアエンジニアとしての心のよりどころを持つことができて、飽きずに続けられそうです。もしプログラマーとしての仕事を失ってもコンピューターギークとして霞を食って生きていけそうですし、ひょっとしたら、何かが起きてゲームのルールが変わったときにひと山稼げてしまうかもしれません。こういう気持ちをもって、この不確実な世を生きていきたいと思ってます。